Interview with ANATOMIA - Takashi and Jun March 2013 by Hallow's Victim

ANATOMIA - Decaying In Obscurity

ANATOMIAは東京を中心に活動するデスメタルバンドだ。
‘90年初期に活動したTRANSGRESSORやSADONDETHの元メンバーといったベテランプレイヤーにより2002年に結成。国内でのライブはもちろん海外のフェスに出演したりツアーしたりと活発的なバンド。
今回はHallow's Victimというファンジンに掲載するインタビューの日本語訳ヴァージョンでお届けしよう!


今年(2012年)、遂にANATOMIAの6年ぶりのフルアルバム「Decaying In Obscurity」がリリースされましたが、アルバムの制作は6年にわたって行われたのですか。それとも最近取り掛かって完成されたものですか。次のアルバムまではさらに6年かかりませんよね。

Jun:6年か。その間、3-WAYスプリットとかデモとか、7インチとかもあったからな。6年ってあっという間だね。小学校の6年はめちゃくちゃ長く感じたけど(笑)

Takashi:そう、その6年でスプリット5つ、ライブLPやカセットデモを出したからな。曲づくりはたしか2011年の1月あたりからやってたよ。次のアルバムは6年もかからないようにするよ!

「Decaying In Obscurity」というタイトルは偶然にもサウンドの質感をよく表していると思います。これは仕様としてあらかじめ意図されたものですか。それとも制作の過程で自然にそのようになったのですか。

Takashi:このタイトルは制作中に考えたんだ。ファーストアルバムよりダークでアトモスフェリックな曲が多いだろ。「Dissected Humanity」では物理的な内容だったけど今回はより精神的な内容にしたかった。バラバラになった死体が腐って姿を消していく、つまり最後には誰もが目に見えない状態になる、という意味を込めたんだ。

Jun:ラストのインストは冒険だったけど、曲順と歌詞の世界観が上手く一致したよね。音は好きな音を探して調整してたまたまこうなった感じかな。
参考にした音、音源もなかったし。汚い音は意図的というか、初期デスメタルとかスラッシュメタルって汚い野蛮な音だったからね。脳味噌がそこから進化してないのかもね、俺の場合。


「Obscurity」という曲は新鮮な驚きでした。これはどのような経緯でできた曲ですか。

Jun:元々は個人的趣味で作っただけなんだけど(笑)。わざと音割れしたバックのリズムを作り、昭和の古い映画に流れてそうなメロディーを導入してみた。
曲が完成していくにつれ収録したいと思ったんだよね。聴いた人が「何これ」って感じのリアクションが欲しかった。何百回と自分達の曲を聴きながらアルバムのマスタリングしてる時に語りを入れたらクールだ!と閃いてタカシに提案した。
10分後にはレコーディングを始めたよ。ボーカルが入って素晴らしい出来になったと思う。

Takashi:デスメタルな曲だけで埋めつくさず、途中にこういったテイストの曲を入れて正解だったよ。すごく雰囲気のあるいい曲に仕上がったよ!



2009年のデモからDead Body Artを挿入しましたね。(今回のテイクではより妖しさが増しています。)他の2曲も録り直す予定はありますか。

Jun:個人的な意見としては他の2曲は再録しないね。DBAはアルバム同様、デモでバックにキーボード入れてるんだけど殆ど聴こえないんだよね。それが狙いだったけど。
アルバムではキーボードの音もしっかり主張して怪しさを増したかった。お気に入りの曲だからアルバムにはどうしても入れたかったよ。

Takashi:残りの曲はYoshioが作った曲ってのもあって今のところ再録の予定はないね。デモだけじゃなく、新バージョンをアルバムに入れたかったんだよね。



これは既にアナウンスされている事項かもしれませんが、Yoshioが今回のアルバムに関わっていないのは何故ですか。彼はまだバンドのメンバーとして活動していますか。


Jun:2011年12月。RITES OF DARKNESS 3(テキサス)のフェスを最後に辞めてもらった。彼はアルバムの曲作りにも関わっていなかったしモチベーションが低くなってきていたのも判っていた。ギターの録音も弾かなくていいと宣告。本人は反論なし。

Takashi:Yoshioは高校の同級生でもあったし、当時からTRANSGRESSORやNECRO-Eを一緒にやってきてたから、彼がやめたのは残念だったよ。でも彼のデスメタルをやること、バンド活動への意欲がだんだんと薄れていってね。
もともと彼はデスメタルにあまり興味がなくて俺が引きずりこんだようなもんだったからな。義務的にバンドやってもしょうがないしね。喧嘩わかれしたわけじゃないから付き合いは続くんだけどね。

ANATOMIAの曲の歌詞は凄まじくダークですね。こんな狂った着想はどこから来るのですか。

Takashi:ホラー映画だね。クラシックホラーがメインだけどスプラッターからサイコホラーまでいろいろ見て歌詞の参考にしてるよ。
あとはニュースで見る実際に起きている猟奇事件なんかからもヒントを得てるよ。秋田の連続児童殺害事件とか足立区の女子高生監禁コンクリート詰め事件とかね。
自分の住んでいる足立区は事件が多いから不思議な人間をよく見るよ!笑

ボーカルは鍵となる大事な要素ですね。率直に言ってTakashiさんは現存するデスメタルのヴォーカリストとしてはトップを争う逸材だと思います。それについて何か思うところはありますか。

Jun:間違いなくトップレベルだよね。

Takashi:ありがとう!すごくうれしいよ!
でも正直なところ自分の声ってあまり好きじゃないんだけどね。声量は比較的少ないほうだと思う。声自体は低いんだけど嗄れていて小さいんじゃないかな。
でも自分にとっての理想はChris Reifert(AUTOPSY)、Killjoy(NECROPHAGIA)、Mark Mastro(ROTTREVORE)、Antti Boman(DEMILICH)、Ola Lindgren(GRAVE)、Jali Heinonen(FUNEBRE)あたりかな。これらを意識しすぎないようにしているけど影響はかなり受けてるよ。あと気持ちがこもった発声を心掛けているよ!

様式的な観点から常にAUTOPSYが比較に出されますね。AUTOPSYと比べられるのは自然なことだと思いますが、やはりANATOMIAは独特の雰囲気を持っていると思います。レビューなどでAutopsyが持ち出されるのに飽き飽きしたり、ということはありますか(私ならAUTOPSYと何度並べられても悪い気はしませんが...)。

Takashi:特に比較されることに抵抗はないね。だって素直にAUTOPSYが好きだからね。
ただ、ANATOMIAを始めたころはかなりAUTOPSYを意識していたね。ていうのも、そのころ(2002年ごろ)はAUTOPSYのような、あるいはdarkでslowでtwistedなバンドはあまりいなかったしね。
ブラストビートにトリガーを多用したtechnical brutal deathが流行っていたから、あえてスローで、もたついたビートの曲を作りはじめたんだ。だからREPULSIONのカヴァーもあえてスローにやったりしてね。
個人的な意見としては、ANATOMIAのメンバーがやればそれだけでオリジナルって言えるんじゃないかな、て思うんだ。

Jun:比較されるのはうんざりだね、光栄だけど(笑)。ANATOMIAサウンドを確立していきたいね。

AUTOPSYといえば、ANATOMIAはChris Reifertからも賛辞が送られていますね。彼との交流が深まったきっかけは。

Takashi:1991年ごろからChrisとは交流があったよ。TRANSGRESSORのデモを送ったら気に入ってくれてアメリカでTRANSGRESSORの名前を広めてくれたんだ。
ある日、NUCLEAR DEATHのLoriから手紙が届いて、「AUTOPSYのChrisから聞いて手紙を書いたよ。デモをトレードしないか?」ってね。それ以来Chrisとはよく文通していたよ。
留学でアメリカにいる時にデトロイトでAUTOPSYのshowを見に行ったときに初めて会ったんだ。彼は俺がそこにいるとは思わなかったみたいで驚いて腰をぬかしてたな(笑)。
すごくいいヤツでその時にABSCESSのデモをもらったのを覚えてるよ。それから何度か文通をしたね。お互いのバンド活動について情報交換をしたり。ANATOMIAを始めてからも時々連絡をとっていてDissected HumanityのLPバージョンが出るときはテキストの手書きをやってもらった。今回のアルバムももちろんやってもらった!忙しいのに俺たちの作品に参加してくれたことは本当に光栄だよ。

無名のホラー映画でいいのをいくつか教えてください。

Takashi:オブスキュアなのかどうかわからないけど、1960年の中川信夫の「JIGOKU」かな。
かなり古い映画だね。プリミティブな作品ですごく好きだよ。


最後までインタビューを読んでくれたリーダーにはいつも感謝。このインタビューの日本語訳ヴァージョンの掲載を許可してくれたHallow's Victim Zine、ありがとう。

ANATOMIAのレコードやCDはアンダーグラウンドのメタルを扱うショップに行けば買う事が出来るだろう。それがもしすでに売切だったら君がチェックするのが遅すぎただけだ。レコードのほとんどは限定ですぐマニアの連中が買ってしまうからだ。
アマゾンなんかにはもちろん売ってない。ほとんどアンダーグラウンドのレーベルやバンドはDIYで反商業的な姿勢である。彼らは大手の流通業者にマージンをとられるぐらいなら少しでも安く君たちメタルヘッドにレコードを売ろうとしているからだ。だからとにかくライブに行ってバンドから直接買う事が一番のサポートだ!
ANATOMIAは東京を中心にライブ活動をしているから君が本気になればすぐに彼らの事を見つけられるだろう!
このKultivationを見つけたように!

ANATOMIA "Decaying In Obscurity" on NUCLEAR WAR NOW! http://www.nwnprod.com/
ANATOMIA on Metal Archives http://www.metal-archives.com/bands/Anatomia/49197