Interview with WORSHIP - Daniel Pharos March 2013


1998年結成、フュンネラルドゥームメタルの頂点のバンドの1つとして君臨するWORSHIP。
1999年にリリースしたカセット音源1本で世界中の遅重ドゥーマーを完全震撼。2001年にはメンバーのMad Maxが自殺。バンドは活動休止になるもオリジナルメンバーのダニエルによって継続し2007年には待望のファーストアルバム、Dooomを発表。2008年には来日公演も実現させた。
2012年にはセカンドアルバム Terranean Wake を発表。アルバム発表直後、ダニエルにインタビューした。




こんにちはダニエル! ドゥームな冬の夜を楽しんでる?

どんな天気も嫌いだよ!

まずは、WORSHIPの歴史について話すことから始めよう。
WORSHIPはあなたとフランス人のマックスの2人によって結成されました。(マックスはOcean Morphique zine、Impaler of Trendies Records、グラインドバンドのBeer Vomitなど様々なプロジェクトで活動)。現在では、別々の国の人が一緒のバンドをやるというのはそれほど珍しいものではないけど、その頃はほとんどそのようなバンドはいなかったんじゃないかな。
どんな経緯でフランス人のマックスとバンドを始めることになったの? 

マックスは俺が当時やっていた別バンド SOMBER SERENITYの件でコンタクトをとっていたんだ。何回かインタビューをしてもらったり、e-mailをやりとりする中でだんだんと友人になっていたんだ。
ある日突然、彼はいくつかのプロジェクトを始めたいと言ってきて、こんなのがやりたいってリストを送ってきたんだ。そりゃ驚いたよ! だって彼が自分自身で音楽をやるなんて知らなかったからね。そのリストに、エクストリームなドゥームってのがあった。
純粋なドゥームバンドはそれ以前にやったことはなかったけどドゥームは好きだったしリストの中ではそれが一番自分にとってやりやすいかなって思ったんだ。当時やっていたThe DARKNESS WITHINやSOMBER SERENITYにはドゥームな要素もあったしね。例えばThe DARKNESS WITHINのDark Ways and Ode to Old FriendsやSOMBER SERENITYの1st アルバムに入っているThe Sufferer、Nemesis My Childeなんかはドゥミィーな感じだよ。
俺は初めてのバンド、パンクバンドのYUCKから追い出されたんだ、なぜならそのバンドのリーダーとパンクよりもドゥームの方がいいよってな感じで喧嘩になっちゃったんでね...。そんなこともあって、初期のANATHEMAみたいなドゥームをやるのも悪くないと思ってそのチャンスに食いついてWORSHIPが始まったという感じかな。

マックスは既にWORSHIPというバンド名は考えていたんだ。あと、The DARKNESS WITHIN用に作っていたんだけど、なかなか活動がうまく行かなくてお蔵入りに近い状態になっていた曲があったんでそれをWORSHIP用に使うことにしたんだ。


そして、1999年の末にLast Tape Before Dooms Day カセット音源をリリースしたね。
覚えてる限りでは、確かその音源はマックスがドイツの君の家に滞在している間に録音したんだよね? レコーディングがどんな感じだったか教えてくれる? 

4曲 WORSHIP用に用意して、SOMBER SERENITYでフランスにライブしに行った時に初めて若いマックスに会ったんだ。その時、初めて彼と会ったんだけど、ウチに押し掛けるようにやってきてしばらく滞在して、俺の母ちゃんの家の地下室でレコーディングしたんだ。
いつものように、俺たちはだらだらしすぎて、ヴォーカルだけはなんとか全部録音できたけどギターは中途半端な状態だった。残りはマックスが帰ったあと仕上げたんで、最終的な仕上がりを聴いてマックスはちょっと驚いていたみたいだったね。
彼は最終的な仕上がりは気に入っていたみたいだけど、いつも俺にノイジーさや生々しさが足りないって文句言ってたよ! マックスは強い憎しみや混沌としたエネルギーといったものに惹かれていて、俺はみんなを惨めな気分にさせるような感じでいきたいと思っていて、二人の間には常に変な緊張感があったね。

あと、たしかこのデモはマックス自身のレーベル、日本のWeird Truth以外のレーベルからも出てたんだよね。すべてのバージョンの Last Tape Before Doomsdayについて正確に知ってる?

テープバージョンは多分3つか4つのバージョンがあるんじゃないかな?
(※マックス自身のImpeler of Trendiesからのバージョン、日本のWeird Truthのバージョン、チェコバージョンなど。当時マックスは世界中からいろんなバージョンが出るようなことを言ってたと記憶している。全てのバージョンは未確認。)

Last Tape Befpore Doomsdayに続いて、AGATHOCLESとのスプリット7"EPがマックス自身のレーベルからリリースされたよね。その音源で初めてマックスがドラムを叩いたんだよね。初めてそのEPのメンバー写真をみた時、4人写っていたんでWORSHIPは4人組のフルバンドになったんだと誤解してたよ! 
残念ながら、この音源がマックスが生きている内にリリースされた最後の音源になってしまったね... 
マックスのドラムはどうだった?

この音源では、マックスの家でレコーディングしたんだ。管があちこちにあって、床のタイルとタイルの間に電気の線が張り巡らされているような部屋だったね。電気の線に触れないようにちゃんとタイルの真ん中に立っていないと、ギターの弦とかミキシングのコンソールに触れたとたんに電気ショックにやられちゃうような、すごい環境だったよ!
マックスはグラインドドラムを叩いてみせてくれて、なかなかよかったね! それで、3つのEP用の曲をDooomアルバムのためのデモをその時に録音したんだ。ついでにグラインドコアのアルバムを録音したよ。一緒にふざけて馬鹿な写真とったり、Whispering Gloomのビデオとか撮ったけど、それらはどっかいっちゃって今は残っていなんだ。残念。

そう! マックスに第二次世界大戦で使われたガスマスクをプレゼントしたんだ。彼はそれを随分気に入っていたね。眠ってる時までそれをつけていたよ。全くエクストリームだけど、彼らしいだろ。で、彼がガスマスクした姿で写真とって、ニュードラマーThe Unknownとしたんだ。で俺自身はミステリアスな双子のThe Shadowとしてベースプレイヤーになった。
レコーディングはその後もう一回やったよ。Dooomアルバム用の録音で、それが彼と一緒にやった最後の録音になったんだ。彼は長髪を切って、頭をスキンヘッドにしていたね。その時は俺のギターが調子悪くて、ドラム、ヴォーカルとピアノをちょろっと録音しただけだった。

聞きにくい質問だけど、WORSHIPの歴史を語る上で避けては通れないことなんであえて聞かせてもらうよ。
2001年6月、マックスはカナダで橋の上から飛び降りた。最初に彼が亡くなったって噂を聞いた時、彼のe-mailアドレスにメッセージを送ったんだ。そうしたら、彼のルームメイトが彼が飛び降りた時の状況を教えてくれたんだ。カナダの友人達と飲みにいった後、彼は悪酔いして橋の上から飛び降りようとしたらしいんだ。もちろん、彼の友人達は止めようとしたけど、みんなを殴りたおしてついには飛び降りちゃったって言ってた。いつか一緒に酒でも飲みたいなと思ってたのに、残念だよ。なんで彼はそんなことしたんだと思う? あと、彼との特別な思い出とか聞かせて。

彼はいつも自殺について幻想みたいなものを抱いていたね。本当に強く自殺に興味を持っていて、酔っぱらっている時はすごい強烈で暴力的だった。彼はいつも飲んだ時に失敗談を俺に聞かせてくれたよ。
そんな行いが彼の中の悪魔のような存在になっていたんだろうね。とっても魅力的なやつだったよ。もちろん、彼についてはいろんな思い出があるよ。いい面も悪い面も、いろいろと。これからも、あるいみあそこまでイッテるやつに会うことは無いだろうな。

その後、STABAT MATERSとMOURNFUL CONGREGATIONとのスプリットが2つがリリースされたよね。その後リリースされたLOSSとのスプリットはマックスが亡くなった後に録音された初めての音源だよね? 

LOSSとのスプリット音源は短い期間だったけど、UNPURE TO CHRISTのクオレマと一緒にやっていたんだ。同時に、The DARKNESS WITHINを一緒にやっていた古い友人のサタクライストも一緒にやりはじめた。
クオレマはケルンの近くにスタジオを持っていて、EPの音源でベースとレコーディングのエンジニアを担当してくれたんだ。サタクライストと俺は彼のところまで週末に出かけて録音作業をという感じだった。新しい別の人と作業するのはいい経験だったけど、そろそろライブとかやりたいなと考えていたから、あんまり遠いところに住んでいるベースプレイヤーとバンドをやるというのはあんまりいいアイデアだと思えなかった。そんな訳で、彼とはそのレコーディングだけで分かれて、サタクライストと2人だけになったんだ。

2007年にようやくDooomアルバムがリリースされたね。マックスがカナダに旅立つ前に彼のパートをレコーディングしてから、リリースまでおおよそ7年。
だいぶ長い時間かかったけど、初めてアルバムを聞いた瞬間、待ったかいがあったって思ったよ! このアルバムを完成させるのに一番難しかったのはどんなところかな?

とても長い時間かかったね。
2000年に俺はBEYOND THE VOIDに加入して、それから8年間それをメインバンドとして活動して3枚のアルバムをリリースした。
Dooomアルバム制作の最初に、一緒に作っていた友人を失って断片的な素材だけが残された。最後に俺たちが録音した音源はあんまりいい状態じゃなかったんだ。前の質問で答えた通り、俺のギターはチューニングは狂ってひどい状態だったので、録音できなかった。だからその時点であったのはドラムとヴォーカルの音源が一部と、曲のスケッチのようなものだけだった。
マックスが生きていた頃は彼がどんどんWORSHIPのことを進めていたけど、彼がいなくなってしまって何もかもが止まってしまった。
俺はWORSHIPの曲を書いたり演奏したりするのを避けていたんだ...

その後、Weird Truth RecordsやPainiacのフレッドに尻を叩かれて、そして多くのファンの後押しを得て気合いを入れ直してアルバム作りに取り組みはじめたんだ。それから、俺はアルバムのコンセプトとしてDooomアルバムのストーリーの流れのアイデアを固めた。そして、その時点でほとんどすべてのものをやり直さなきゃ行けないって分かったんだ。
いつもは、俺たちは一緒に歌詞を書いていたから、マックスが亡くなってしまってそれらはほとんど失われてしまった。彼がどんな歌詞を書いていたのか全く分からなかった。なので、彼のヴォーカルをちょこっと使って、Dooomアルバムの物語を作るのに新しい歌詞を書いた。アルバムタイトルはマックスが生きていた頃に決まっていたけど、その他についてはその後に作ったんだ。WORSHIPのアルバムはとても長いし、当時はBEYOND THE VOIDも忙しく、そんな問題もいろいろあってかなりの時間がかかっちゃったよ。

2008年には日本で2本のライブを行ったよね。それはどうだった?

ドイツもしくはヨーロッパと日本の違いを君がどれだけ知ってるか分からないけど、俺たちには何もかもが違うように感じられたよ。いろんな新しいものを見て、いろんなことを勉強して、非常に興味深い旅だった。
最初に乗る予定だった飛行機を逃してしまったので残念ながら余裕もって楽しめる時間無かったけどね。
途中の乗り継ぎで立ち寄ったロンドン空港ではまさにめちゃくちゃだったよ。手続きすませて手荷物預けようと並んでたら、そこは手荷物預けられるところじゃなくて... でも、すでに搭乗時間5分すぎ! 
なんとか翌日のチケット手配できたけど、それまでは大変だったね。
そんなこんなで日本に滞在できたのはほんの少しだった。延々と飛行機で旅して2日ちょい! 
でも、ライブハウスの感じもオーディエンスもよかったね。日本でプレイする機会を作ってくれてありがとう。こんどはもっと余裕もって日本を回りたい。もっといろんな所にも行ってみたいし、もっとちゃんと眠れる時間も作ってね! いつかまた日本に行きたい。


Photo by Darkside.ru

Dooomアルバムの後すぐ、WITHER、PERSISTENCE IN MOURNINGとのスプリットをリリース、それから次の作品、Terranean Wakeアルバムまでは4年もかかったけど、その間はどうしてたの? 
その間にいいライブでもあったかい?

ニューアルバム出す前にやったライブで一番良かったのは今のラインナップで初めてモスクワでやったやつかな。そこでは非常に歓迎されて、素晴らしいクラブで、すごい数のオーディエンスだったよ。
アルバムリリース後にはヨーロッパをツアーして全部で9回ライブやったんだけど、それは今までで一番いい経験だったね。人生で一番の一週間だったよ! 最高!

やっと新しいアルバムTerranean Wakeの質問までたどり着いたよ! まず最初に驚いたのが、君が今回もフランス語を使っていたことだよ。
どうしてフランス語を使ったんだい? マックスへのトリビュート的な感じ?

Dooomアルバムでは複雑な物語を分かりやすく伝えるために英語でやる必要があったんだ。でも、フランス語パートが無いのでなんかちょっと足りない感じがしたんだ。
フランス語のグロウルの響きはイイ感じだし、それがWORSHIPのトレードマークの一つでもあったし。
というわけで、今回またLast...の時のように英語 / ドイツ語 / フランス語の3カ国語を使ったんだ。

前回のDooomアルバムは8曲収録でそれぞれはドゥームソングとしては短かったよね。でも、今回は4曲収録でどの曲も通常の長さ(ドゥームとしては)になった。どうして今回そんなに曲長くなったのかな?

今回はコンセプトアルバムだからかな。俺は他のバンドのこととかあまり気にしないで我が道を行く感じでやってるよ。
まず最初に考えたのはヴィニールで出す時に1枚組か2枚組かどちらで出そうかなってことだよ。で、各面にはどれだけの長さの曲が収録できるかってこと。それを早い段階で考えとかないと、後で大変なことになるだろ! 次回はどうするか分からないけどね。


Terranean Wakeはコンセプトアルバムだと思うけど、どんな感じの物語なのか教えてくれる?

ある晩、世界の終わりについての夢を見たんだ。はっきりとした夢でまるで幻覚でも見ているかのような感じだった。それで、それをアルバムのコンセプトにしようと決めたんだ。
基本的に、世界は人類が恐れていることを明らかにする。ある世捨て人が、これから来る世の終わりについて世界に警告を促すんだけど、無視され避けられてしまう。彼は世の終わりを追い越そうとしているんだ。

2013年の予定は? それと最後に日本のドゥームマニアック達に何か最後に一言! 

次のアルバムの準備と、できる限りライブやることかな。ライブのお誘い待ってるよ!
興味ある人は俺のアドレス info@EndzeitElegies.com か俺たちのブッキングをしてくれている  Luuk@DoomstarBookings.com までメールを! 
サポートありがとう! 日本のファンはとても強力で、とてもすばらしいよ! 
前回日本に行った時にいろいろ学んで、俺たちのライブはあの時よりも一段と良くなっているよ! だから、もう一回日本に行きたいと思っているし、それがなるべく早く実現するようにがんばるよ! 
あと、Facebookページもチェックよろしく! www.Facebook.com/WorshipDoom
ありがとう!


WORSHIP / Terranean Wake CDは日本のWeird Truthからリリースされているので簡単にゲットする事が出来る! ボタンを押すだけでCDが買えるなんて、なんて堕落した時代なんだ! Doom!!
http://www.weirdtruth.jp/