Interview with SWARRRM - Kapo September 2014


関西グラインドのパイオニア、兵庫・神戸を拠点にカオティック・サウンドのオリジネイターとして独自の進化を遂げるSWARRRMが、実に7年振りとなるフル・アルバム『FLOWER』をリリースする。
制作に延べ5年もの年月を費やした本作は、グラインドを立脚点としながら普遍的なロックのテイストを大胆に注入。新たな展開を模索した末に完璧な最新フォームを手にした孤高性の高い作品だ。
今回はリーダーのKapoによる貴重なインタビュー!

『FLOWER』はフル・アルバムとしては『Black Bong』以来7年ぶりのリリースになると思います。まずはアルバムを完成させた今の気持ちを聞かせて下さい。

Kapo:後悔のない内容に出来たことを嬉しく思っています。ジャケ、音質共に満足しており、大野氏、原田氏にはとても感謝しています。

アルバム制作を意識した、起点となったのはどのタイミングですか?

Kapo:“幸あれ”という曲が完成した時です。今までの音源とは違う、という明確な変化を提示したかったので、変化の象徴になるような曲が出来るのを待っていました。


FLOWER (CD: DYMC-231) 2,400 yen + tax


これまでのアルバム、あるいは単独作の中で最も統一性がある作品だと感じました。狙い通りでしょうか?

Kapo:自分達でも、グラインドコアでありながら、カオティックHC、激情系HC、ブラックメタル以降のバンドだという認識はあり、その先をやるというはっきりとした意志をもって作りました。
結果は本人には分かりませんが、“幸あれ”“あがれ”の世界観がその意志を象徴しているんじゃないかと思います。最近は普遍的なロックっぽさを取り入れることに新鮮さを感じており、その思いは全編通してあるかもしれません。

ブックレットにあるクレジットによると、2009年から断続的にレコーディングを行われていたようです。曲が出来上がり次第レコーディングをしていったということでしょうか? 一般的な、まずアルバム収録曲を全曲仕上げてから一気にレコーディングするプロセスとは大きく違うと思います。

Kapo:そうです。出来次第録ります。僕らの集中力では一度に3曲くらいが限界です。このやりかたで長年やっているので、まとめて録ることは考えられないです。

制作に5年掛けた最大の理由は何でしょうか?

Kapo:結果的に掛かっただけです。後悔のない内容にするため、自分達が満足するのに掛かった時間です。

実際の作曲、またレコーディングはどのようにして行っているのでしょうか? Tsukasaさんは東京在住で他のメンバーと物理的に離れているので、苦労されることも多いかと思います。

Kapo:常に3曲くらいは同時進行で作っています。今回収録の“まやかし”は確かTsukasa君加入前から作り始めたので5年以上掛かったと思います。距離は問題ではないです。
各自、自分の役割はしっかり果たす、その信頼関係で18年、Tsukasa君が入って7年存続できたと思っています。


聴き取り易いというと語弊がありますが、今回はこれまで以上にTsukasaさんの日本語詞が刺さります。ヴォーカルを曲の中心的存在に据えている印象も持ちました。Tsukasaさんのヴォーカルが入ることでそこから更に曲のアレンジを組み替えることはありますか?

Kapo:歌重視が今回のアルバムの一番の特徴であり、大きな変化になっていると思います。ひとえにTsukasa君の努力と挑戦の結果だと思います。
Tsukasa君がメロディーとキャッチーさを大胆に追加した結果が、良い方に転んだと思います。僕の期待以上の結果を出してくれて感謝しています。今のところTsukasa君からそういうリクエストがないので組み替えたことはないですが、リクエストがあれば答える用意はあります。

SWARRRMといえば様々なアーティストとの膨大な数のスプリット作が思い浮かびます。スプリット作と単独作では制作段階に於ける心構えや方向性は違いますか? 

Kapo:スプリットはやはり多少なりとも勝負を意識します。アルバムは可能性を意識します。

作曲の段階で「これはスプリット用/単独作用」と振り分けが見えてくるものなのでしょうか?

Kapo:タイミングだと思います。

SWARRRMは今もグラインド・バンドと考えていらっしゃいますか?
非メタル・テイストで整合感よりも混沌を突き詰めるかのような方向性は、世界的に見ても孤高性が高いと思います。

Kapo:グラインドコア・バンドだと思っています。ガラパゴス的な成長過程のため、そういう質問を受けがちですが、自分ではグラインドコアやっているつもりです。もちろん正統派とは思っていませんが、正統派のグラインドコア好きの方にも認められるような、新しいスタイルのグラインドコアをやりたいと考えています。

レーベルのプレス・リリースに「グラインドの新たな展開が決定的なかたちとなる」とありました。グラインドの定義とはご自身ではどのようなものと考えていらっしゃいますか?

Kapo:ブラストビートに拘るということです。僕がグラインドコアに惹かれたのはその部分のみです。
僕らが18年間やってきたのはその活用法の模索であったと思います。Chowrowというメンバーなしでは、とても出来なかったことです。324の最初のシングルを聴いた時もSakata君のブラストに痺れたし、DIE YOU BASTARDの辰嶋君のブラストはいつ見ても超かっこいいと思います。彼らとは違う切り口でかっこいいブラストの曲を作りたいですね。

“幸あれ”のコード感溢れる様は、リフ押しが大前提になっている激音シーンでは非常に珍しいアプローチだと思います。この曲ではダイナミズムや抑揚を意識したのでしょうか?

Kapo:意識したと思います。激音シーンの方程式からはずれることは常に意識しているかもしれません。SWARRRMの新しい可能性につながる曲だと思っています。今の時点で最高の出来だと自負していますし、Tsukasa君の底力に驚きました。

全編を通して、特に“漂白の闇” “群れ” “花” からは普遍的なロック・テイストやメランコリックさを感じます。SWARRRMとしてロックというものに新しいものを見い出していますか?

Kapo:普遍的なロック感を取り入れることに進歩の可能性を求めているのは間違いないです。もちろんそこに今まで通りのアンバランスな演奏は導入するのですが。

“あがれ”はPASTA FASTAとのスプリット作にも収録されていましたし、ビデオも制作されていました。改めて収録したのはこの曲の世界観が『FLOWER』の基軸になり得ると考えたからでしょうか?

Kapo:そうです。今作の中で一番、華のある曲だと思います。


作曲した生の状態からポスト・プロダクションで楽曲のイメージが変わることはありますか? あくまで最終型を見据えてレコーディングしているのでしょうか?

Kapo:その時々です。ギターのオーバーダブはほぼ行き当たりばったりでその場でつけることが多く、意外な印象になることも多々あります。歌についてもそういう部分はあります。曲の骨組みは時間を掛けるのに、そのあたりを一発勝負にするところは特徴的かもしれません。

ヘヴィ・ドローン・ユニットのNADJAの初期もそうだったのですが、作品ごとに異なるレーベルから発表するのは意図的なのでしょうか?
作品のカラーによって選び分けているのですか? バンドとレーベルが馴れ合わず常に緊張感を持っていたいからなのかとも想像しました。

Kapo:全てはタイミングと縁です。特別な意図は無いです。

ライヴでの再現性は意識されているのでしょうか? 「作品とライヴはあくまで別物」として考えていらっしゃいますか?

Kapo:何も考えてないです。意識するのはライヴ向き、不向きくらいです。



花をあしらったジャケットが非常に印象的です。どのようなコンセプトで進めたのでしょうか? SOLMANIAの大野さんを起用した理由も教えて下さい。

Kapo:今までも4作品でお世話になっており間違いないからです。
今回も大野君が制作してくれて本当に良かったと思います。

11月に東京と地元神戸で、12月に大阪でリリース・ライヴがあるようです。どんなものになりそうでしょうか? 本作収録楽曲が中心になりそうですか?

Kapo:そうですね。

今後の活動や方向性について教えて下さい。

Kapo:今まで通り、尊敬するバンドとスプリットを出していき、この4人でバンド活動が継続できるよう、自分達が飽きないための曲作りを継続します。

今後のライブ日程

11/16(日)新大久保Earthdom
with BLACK GANION, SLIGHT SLAPPERS, ENSLAVE, BB

11/22(土)神戸108
with kamomekamome, 狂うクルー, ヨダレサゴ

12/20(土)心斎橋火影
with STUBBORN FATHER, SEEK, RED SHEER, kallaqri

SWARRRM Facebook page
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